LBO結晶 Unioriental社, 非線形結晶,LBO仕様
(LiB3O5,LBO)
リチウムトリボレート結晶(LiB3O5,LBO)は福建省立構造研究所(FIRSM),中国科学技術省が発見・開発した、新しい非線形光学結晶です。Castech社により完全特許保持されています。特許番号:4,826,283(アメリカ)2023845(日本)CN88102084.2(中国)
l 160nm-2600nmまでの広い波長域での透過性
l 高い光学品質(均一性δn≒10-6/cm)と不純物フリー
l 相対的に大きく、効果的なSHG係数(KDP結晶のおよそ3倍)
l 高いダメージ閾値(波長1053nm,1.3nsのレーザの時18.9GW/cm2)
l 大きな許容角と小さいウォークオフ
l 広波長範囲内におけるタイプTとタイプUの非臨界位相整合(NCPM)
l 1300nm 近辺のスペクトルNCPM
* NCPM(Non-Critical Phase Matching)
l 医療用、及び産業用Nd:YAGレーザ
l 研究開発及び軍需応用の高出力Nd:YAGレーザ及びNd:YLFレーザ
l ダイオードレーザ励起のNd:YVO4、Nd:YAG、Nd:YLFレーザ
l Ti:サファイアレーザ
そして
l Nd:YAG、およびNd:YLFレーザの周波数3逓倍
l エキシマレーザおよびNd:YAGレーザの第二高調波励起の光パラメトリック増幅器(OPA)及び光パラメトリック発振器(OPO)
l 波長1340nmの高出力Nd:YAGレーザの周波数逓倍(SHG)および3逓倍(THG)
l 厳密な品質管理
l 10x10x20mm3までの大型サイズと最長40mmの結晶サイズ
l ARコーティング、マウント及び再研磨のサービス
l 大量の在庫
l 短納期
Castech社のLBO結晶はフラックス法で成長しています。LBOは斜方晶系の結晶で、ポイントグループmm2に属しています。
それはリチウムB3O7の連続したネットワークで構成されます.。B3O7グループの密集したネットワークによってLBO結晶はほとんど
不純物(インクルージョン)を含んでいません。LBO結晶の化学的および物理的特性を表1に示します。
表 1 構造および物理特性
結 晶 構 造 :Orthorhombic(斜方晶系)空間グループPna21、ポイントグループmm2 格 子 定 数 :a=8.4473Å, b=7.3788Å, c=5.1395Å Z=2 融 点 :約834℃ モ ー ス硬度:6 密 度 :2.47g/cm3 熱膨張係数 :αx=10.8x10-5/K,αy=-8.8x10-5/K,αz=3.4x10-5/K 吸 収 係 数 :<0.1%/cm@1064nm |
LBOは結晶軸a,b,c軸に平行な主軸X,YとZ(nz>ny>nx)を持った負の二軸性結晶です。表2に異なる波長でのLBO結晶の
屈折率を示します。屈折率対波長はSelleimer方程式にあてはめると(但しλ:μm)
l nx2=2.454140+0.011249/(λ2-0.011350)-0.014591λ2 -6.60x10-5 λ4
l ny2=2.539070+0.012711/(λ2-0.012523)-0.018540λ2 +2.00x10-4 λ4
l nz2=2.586179+0.013099/(λ2-0.011893)-0.017968λ2 ?2.26x10-4 λ4
LBOの有効なSHG係数は波長1.064μmでのKTP結晶によるSHGの場合の3倍です。LBOポイントグループmm2に対して
non-vanished非線形結晶感受性は:
l d31=1.05±0.09pm/V
l d32=-0.98±0.09pm/V
l d33=0.05±0.006pm/V
表 2 基本的屈折率
波長(nm) |
nx |
ny |
nz |
1064 |
1.5656 |
1.5905 |
1.6055 |
532 |
1.5785 |
1.6065 |
1.6212 |
355 |
1.5973 |
1.6286 |
1.6444 |
LBOは非常に高いダメージ閾値(一般に使用されるすべての非線形結晶の中で最も高い値)を持っています。従って
高平均パワーのSHGやその他の非線形プロセスに適しています。表3に波長1053nmでパルス幅1.3nsのNd:YLFレーザに
よるLBOと他の結晶のダメージ閾値の比較を示します。
表 3 波長1053nmでのダメージ閾値
結晶 |
エネルギー密度J/cm2) |
パワー密度(GW/cm2) |
比 |
KTP |
6 |
4.6 |
1 |
KDP |
10.9 |
8.4 |
1.83 |
BBO |
12.9 |
9.9 |
2.15 |
LBO |
24.6 |
18.9 |
4.1 |
LBO結晶はタイプI又はタイプIIのいずれかを使えばNd:YAGレーザやNd:YLFレーザのSHG及びTHGの位相整合
が可能です。室温でのSHGでは551nmから約3000nmの広い波長帯でタイプIの位相整合が得られ、XY面及びXZ面
(図1参照)で最大有効SHG係数を持っています。
有効SHG係数は
deff(T)=d32cosφ…(XY面に対して)
deff(T)=d31cos2θ+d32sin2θ…(XZ面に対して)
最適タイプUの位相整合はYZとXZ面にかん合し(図1参照)その有効SHG係数は:
deff(U)=d31cosθ…(YZ面に対して)
deff(U)=d31cos2θ+d32sin2θ…(XZ面に対して)
パルス発振のNd:YAGレーザでは70%以上、連続発振では30%以上のSHG変換効率と、パルス発振のNd:YAGレーザで
60%以上のTHG変換効率が、それぞれ観測されています。
● 周波数逓倍した出力2WのモードロックTi:サファイアレーザ(<2ps、82MHz)で、波長395nmで480mW以上の出力が
得られています。サイズ5×3×8mm3のLBO結晶で、700nm〜900nmの波長域をカバーしています。
● 長さ18mmのタイプULBO結晶を使って、QスイッチNd:YAGレーザのSHGで80W以上のグリーン出力が得られています。
● 長さ9oのLBO結晶を使って、ダイオードレーザ励起Nd:YLFレーザ(>500μJ @ 1047nm、<7ns、0-10KHz)の周波数逓倍で、
40%以上の変換効率を達成しています。
● 和周波発生で、波長187.7nmのVUV出力が得られています。
● QスイッチNd:YAGレーザの共振器内周波数3逓倍によって、波長355nmで2mJ/pulseの回折限界出力が得られています。
LBO結晶の非臨界位相整合(NCPM)は、ウォークオフがないこと、非常に広い許容角を持っていること、そして最大有効係数であること等
で特長づけられます。これによって、LBO結晶は最適な条件で動作できるようになります。出力安定性とビーム質に優れたNd:YAGレーザ
の場合、パルス発振では70%以上、連続発振では30%以上のSHG変換効率が得られています。
表 4 タイプTのNCPM SHG特性@1064nm
NCPM温度 |
148℃ |
許 容 角 |
52mrad-cm1/2 |
ウォークオフ |
0 |
温度バンド幅 |
4℃-cm |
有効SHG係数 |
2.69 d36(KDP) |
図1に示すようにタイプTおよびタイプUのNCPMはX軸(θ=90゚、φ=0゚)およびZ軸(θ=0゚、φ=0゚)に沿って室温で、それぞれ達成
することができます。また、2つのレーザ波長を同時にx軸またはz軸方向に入れる連続NCPMも可能です。
図2に示すように、900nm〜約1700nmの広い波長域で温度チューニングによるNCPM SHGが測定されています。波長1064nmの
Nd:YAGレーザのNCPM SHGの特性を表4に示します。
● 25W出力AntaresモードロックNd:YAGレーザ(76MHz、80ps)の外部共振器SHGによって、波長532nmで11W以上の
平均出力を得ています。
● 医療用マルチモードQスイッチNd:YAGレーザの周波数逓倍で、20Wのグリーン出力が得られています。入力パワーを
大きくすれば、さらに高いグリーン出力が期待できます。
● LBO結晶は波長1300nmで、温度NCPMとスペクトルのNCPM(非常に広いスペクトルバンド幅)の両方が達成できます。
これは、赤色出力光を得る波長1300nmNdレーザのSHGに適していることを意昧しています。
LBO結晶は、広い波長可変域用の非線形結晶として、また高出力OPOおよびOPA用として優れた非線形結晶です。Nd:YAGレーザの
SHGおよびTHG、XeClエキシマレーザの波長308nmで励起したタイプTおよびタイプUのOPOおよびOPAが報告されています。タイプIと
タイプUの位相整合は固有の特性で、NCPMについてはLBOのOPOとOPAの研究と応用がなされています。
図3は、室温においてタイプTのLBO結晶をNd:YAGレーザのSHG、THGおよび4HGでXY面を励起した場合のOPOチューニング曲線の
計算値です。
図4は、タイプULBO結晶をNd:YAGレーザのSHGおよびTHGでYZ面およびXZ面を励起した場合のOPOチューニング曲線の計算値です。
l 14%以上の変換効率と540nm〜1030nmの可変波長範囲が355nmで励起したOPOで得られます。
l 355nmで励起したタイプI
OPAでは、30%の励起エネルギー対出力エネルギー変換効率が報告されています。
l 308nmのXeClエキシマレーザで励起したタイプU NCPM OPOでは、16.5%以上の変換効率が得られます。
そして最適な可変波長範囲が異なった励起光源と温度可変によって得られます。
l NCPM技術を使って、532nmのNd:YAGレーザのSHGで励起したタイプI OPAで、106.5℃〜148.5℃の
温度チューニング範囲で750nm〜1800nmの広い波長可変域が観測されています。
l 波長354.7nmで出力4.8mJ、パルス幅30psのレーザで励起した場合、光パラメトリック発生器(OPG)として
タイプUNCPM LBO結晶を用い、また、光パラメトリック増幅器(OPA)としてタイプTCPM BBO結晶を使うことによって、
狭帯線幅(0.15nm)で高い励起対出力エネルギー変換効率(32.7%)が得られています。
LBO結晶と回転BBO結晶の温度を上げることで、482.6nm〜415.9nmの可変波長域をカバーできます。
Castech社では次のARコーティングを供給しています。
l Nd:YAGレーザのSHGに対してLBO結晶のデュアルバンドARコーティング
1) 低反射率(R<0.2%@1064nm &<1.0%@532nm)
2) 高いダメージ閾値(両方の波長において>500MW/cm2)
3) 長い耐久性
l 可変レーザ用SHGのLBOに対して広帯域ARコーティング(BBAR)
l その他のコーティングはご要望に応じて供給いたします
l 透 過 波 面 歪 み : λ/8以下@633nm
l 寸 法 誤 差 : (W±0.1mm)x(H±0.1mm)x(L+0.2mm/−0.1mm)
l 有 形 口 径 : 90%(中心部分に対して)
l 50mWのヘリウム・ネオンレーザによって検査したとき、目視可能な散乱がない
l 平 面 度 : λ/8@633nm
l スクラッチ / ディグ : 10/5 (但しMIL-O-13830Aに対して)
l 平 行 度 : 20アーク秒以上
l 垂 直 度 : 5アーク分
l 角 度 誤 差 : △θ<±0.5°,△φ<±0.5°
l ダ メ ー ジ 閾 値 : 1064nmでTEM00モード、1.3ns,1Hzのレーザの時、15GW/cm2
: 1064nm連続発振またはモード同期レーザの時、1GW/cm2
l 品 質 保 証 期 間 : 適切な使用状態で1ヶ年
1.LBO結晶は湿気に敏感なので使用時も保存時も乾燥した状態に保つこと。
2.LBO結晶の研磨面を保護するよう特別の注意を払うこと。
3.使用するレーザのパラメータを提供して頂ければ Castech社のエンジニアは最適なデザインと結晶を選択いたします。
たとえばパルスレーザの場合にはパルスエネルギー、パルス幅、繰り返し周波数など、CWレーザの場合にはパワー、
レーザのビーム径、モード状態、ビーム拡がり角、波長可変範囲などです。