BBO結晶は中国科学院福建物質構造研究所にて発見され開発されました。 その後、福建Castech社(Castech社)に知的財産、製造・販売権が
移行され、今日においてはCastech社を中心に世界各国にて、様々な非線形メーカが製造を行い市場に販売されております。
BBO結晶の特長:
● 409.6nmから3500nmまで可能な広い位相整合角
● 190nmから3500nmまでの広い透過性波長域
● KDPより約6倍大きい効果的な第二高調波(SHG)発生係数
● 高ダメージ閾値
● δn≒10-6/cmの高光学的均一性
● 約55℃の広い温度バンド幅
● Nd:YAGとNd:YLFレーザの第2、第3、第4および第5高調波発生
● 色素レーザの周波数逓倍、3逓倍および周波数混合
● Ti:サファイアとアレキサンドライト・レーザの第2、第3、第4高調波発生
● 光パラメトリック増幅器(OPA)と光パラメトリック発振器(OPO)
● アルゴンイオン、銅蒸気およびルビー・レーザの周波数逓倍
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厳格な品質管理のデバイスを提供します。
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結晶の長さは0.005mmから25mm、サイズは最大15x15x15mm3
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Pコーティング、ARコーティング、マウントそして再研磨サービス
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大量の結晶を在庫としております。
結 晶 構 造 : 三方晶系(trigonal),スペースグループR3C セルパラメーター : a=b=12.532Å,c=12.717Å,Ζ=6 融 点 : 約1095℃ モ ー ス 硬 度 : 4 密 度 : 3.85g/cm3 熱 拡 散 係 数 : α11=4×10-6/K,α33=36×10-6/K 熱 導 伝 性 : ⊥c:1.2W/m/K, //c:1.6W/m/K
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透 過 範 囲 : 190〜3500nm
SHG位相整合範囲 : 409.6-3500nm (Type I); 525-3500nm (Type II)
熱 光 学 係 数(/℃) : dn0/dT=−16.6×10-6/℃
dne/dT=−9.3×10-6/℃
吸 収 係 数 : <0.1%/cm (at 1064nm); <1%/cm (at 532nm)
角度の受け入れ: 0.8mrad・cm (θ,Type I, 1064SHG)
1.27mrad・cm (θ,Type II, 1064SHG)
許 容 温 度 : 55℃・cm
許容スペクトル : 1.1nm・cm
ウォークオフ角 : 2.7°(Type I, 1064 SHG) ; 3.2°(Type II, 1064 SHG)
非 線 形 (NLO) 係 数 : deff(I)=d31sinθ+ (d11cos3Φ0 2 d22sin3Φ)cosθ
deff(II)=(d11sin3Φ+ d22cos3Φ)cos2θ
非 線 形 係 数 : d11=5.8×d36(KDP)
d31=0.05×d11
d22<0.05×d11
電 気 光 学 係 数 : γ22=2.7pm/V
半 波 長 電 圧 : 7 KV(at 1064nm,3x3x20mm3 )
抵 抗 性(Resistivity) : > 1011ohm・cm
比 誘 電 率 : εS11/ εo :6.7
εS33/ εo :8.1
Tanδ < 0.110 < span=" ">
BBOは異常反射係数(ne)より正常反射係数(n0)を持った負の一軸性結晶です。
セルマイヤー方程式/Sellmeir方程式(但しλ=μm)は
n02(λ)=2.7359+0.01878/(λ2−0.01822)−0.01354λ2
ne2(λ)=2.3753+0.01224/(λ2−0.01667)−0.01516λ2
タイプI とタイプII の位相整合は角度調整で得られます。波長逓倍の角度調整は図1 を参照下さい。有効SHG係数は
Type I :deff=d31sinθ+(d11cos3φ−d22sin3φ)cosθ
Type II :deff=(d11sin3φ+d22cos3φ)cos2θ
但しθとφはZ(=c)とX(=a)に対しての極座標です。
図1 BBOのSHGチューニング曲線
図 1 BBOのSHGチューニング曲線BBO結晶は、Nd:YAGレーザの第二高調波発生、第三高調波発生および第四高調波発生に有効なNLO結晶であり、
213nmの第五高調波発生を行なえる最も適した非線形結晶です。
1. 色素レーザ
206nm以上の波長で変換効率10%以上の効率的なSHG変換効率でUV出力(205nm〜310nm)が、タイプI BBOで得られ、150KWの
パワーでXeClレーザやNd:YAGレーザで励起した色素レーザでは、36%の変換効率が得られています。これは、ADPに比べて、
4〜6倍大きい変換効率です。204.97nmの最も短いSHG波長で1%の変換効率が得られています。
Castech社のBBOは、色素レーザで広く用いられています。BBOを使って、780nm〜950nmと248.5nm(色素レーザの495nmのSHG出力)
のタイプI 和周波では、最も短いUV出力波長域188.9nm〜197nmと、193nmで95mJ、189nmで8mJのパルスエネルギーがそれぞれ得られています。
2. 超短パルスレーザ
超短パルスレーザの周波数逓倍および3逓倍は、KDP結晶やADP結晶に比べてBBO結晶が優れた特性を示す応用のひとつです。
現在、Castech社では、この目的のために0.02 mmまでの薄さのBBO結晶を供給することができます。10fsまでの超短パルス幅のレーザでは、
位相速度と群速度の両方の整合を考慮した薄いBBOを使って周波数逓倍を効率的に行なうことができます。
3.
Ti: サファイアレーザとアレキサンドライトレーザ
結晶タイプI BBO結晶をアレキサンドライトレーザに用いて、波長378nmで105mJ(31%のSHG効率)のパルスエネルギーを持つ360nm〜390nm
の波長域でのUV出力並びに7.5mJ(24%の周波数混合効率)のパルスエネルギーを持つ波長域244nm〜259nmのUV出力が、SHGおよびTHG
で得られています。
Ti:サファイアレーザで50%以上のSHG変換効率が得られています。Ti:サファイアレーザでは、THGおよび4HGでも高い変換効率が
得られています。
4. アルゴンイオンと銅蒸気レーザ
ブリュースタ角カットのBBO結晶を用いて、2Wの全発振線のアルゴンイオンレーザに共振器内周波数逓倍技術を採用したところ、
波長250.4nmで最大33mWの出力と、228.9nmから257.2nmの濃紫外(UV)波長域で、36本の発振線が得られました。
波長510.6nmの銅蒸気レーザのSHGでは、最大変換効率8.9%が得られ、波長255.3nmの紫外域で230mWまでの平均出力が得られました。
5. BBOを使った光パラメトリック発振器(OPO),光パラメトリック増幅器(OPA)
BBOを使った光パラメトリック発振器(OPO)と光パラメトリック増幅器(OPA)は、紫外(UV)から赤外(IR)までの広い波長領域で波長可変な
コヒーレント光を発生する強力なツールです。
タイプTBBO結晶とタイプUBBO結晶のOPOおよびOPAのチューニング角度は、それぞれ図6および図7に示したように計算されています。
5.1. 532nmで励起したOPO
7.2mm長のタイプI BBOを用いると680nm〜2400nmの範囲にてピークパワー1.6MWと30%以上の変換効率をもったOPO出力が得られます。
入力励起エネルギーは532nmで75psのパルス幅で40mJです。更に長い結晶を用いると高い変換効率が得られます。
5.2. 355nmで励起したOPOおよびOPA
Castech社のBBO結晶を使って、通常のNd:YAG励起の場合、BBO OPOシステムでは、400nm〜2000nmの可変波長域でパルスエネルギー
100mJ以上が得られています。
Castech社のBBO結晶を使うことで、BBO OPOシステムはさらに400nm〜3100nmに波長域を拡張することができます。OPOやOPAシステムは
430nm〜2000nmの波長領域において、18%以上又は最大30%を保証しています。不発生点(degenerate points)付近で線幅を狭くする目的で
タイプII BBO結晶を利用できます。
線幅を0.05nmまで狭くし、利用可能な12%の変換効率が達成されています。しかし、15mm以上の長いBBO結晶は、タイプII 位相整合にした場合、
通常発振閾値を低くする場合に使われます。
波長355nmのピコ秒Nd:YAGレーザで励起した場合、狭帯域バンド幅(<0.3nm)、高エネルギー(>200μJ)、広い可変波長域(400nm〜2000nm)の
パルスがBBOを使ったOPAで得られています。50%以上の変換効率を持つBBOを使ったOPAは、従来の色素レーザより効率、可変波長域
およびメンテナンスのし易さにおいて優れており、設計も操作も簡単です。更に205〜3500nmのコヒーレント発振光がBBOのOPO又は
OPAプラスBBOのSHGより得られます。
5.3. その他
波長422nmと477nmの間の信号波を持つ波長可変OPOは、XeClエキシマレーザの波長308nmで励起したタイプI BBO結晶の
角度チューニングで発生できます。
波長266nmのNd:YAGレーザの第四高調波で励起したBBO結晶のOPOは、330nm〜1370nmのすべての波長域をカバーすることが
観測されています。
615nmの1mJ,80fsのDYEレーザの励起によって、2つのBBO結晶を用いたOPAは800nm〜2000nmにわたって、>50μJ(最大130μJ)、<200fsの
超短パルスが得られます。
コーティング
1. 保護コーティング(Pコーティング)
BBOの研磨面は、水溶性に対する抵抗が低いために空気中の湿度で比較的容易に曇ってしまいます。湿気にさらされることからBBO結晶を保護するため、
Castech社では保護コーティング(Pコーティング)を開発しました。 Pコーティングの特長は、
長期間の耐久性 :
95%の湿度で6ケ月以上、それ以下の湿度(例えば、湿度80%)ではさらに長期間の耐久性があります。
高いダメージ閾値:
1064nmで30psのレーザパルス幅で7GW/cm2と並びに10Hzのパルス幅で1GW/cm2 のダメージ閾値。
優れた透過率 :
波長200nm〜3500nmの広い波長域での透過率はPコーティングのBBO結晶は無コーティングのBBO結晶よりも優れているなどです。
備考:私共は通常PコートのBBO結晶を非潮解性結晶として取り扱っており、マウント付きのPコーティングBBO結晶は、ハウジング付きのBBO結晶より
簡単で優れています。
2 無反射コーティング(ARコーティング)
Castech社では、1064nmと532nmでBBO結晶に単一帯域および二重帯域(DBAR)の無反射コーティング(ARコーティング)を供給しています。
DBARコーティングは、低反射率(1064nmで0.2%以下、532nmで0.4%以下)、高いダメージ閾値(1064nmで繰り返し周波数が10Hzのとき、
30psのパルス幅で7GW/cm2以上、10nsのパルス幅で1GW/cm2以上)、耐水性および長い耐久性で特長付けられます。 ご要求によって、
他の波長でのARコーティングも可能です。
Castech社のBBO仕様上の保証
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透 過 波 面 歪 み : λ/8以下 @ 633nm
l 寸 法 誤 差 : (W±0.1mm)×(H±0.1mm)×(L+0.5mm/−0.1mm) (L>=2.5mm)
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寸 法 誤 差 : (W±0.1mm)×(H±0.1mm)×(L+0.1mm/−0.1mm) (L<=2.5mm)
l 有 効 口 径 :
>90%(中央部分に対して)
l 50mWのグリーンレーザで検査した場合、目に見える散乱光路や中心は有りません。
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平 面 度 : λ/8 以下 @ 633nm
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面 取 り : <= 0.2mm x 45°
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チ ッ プ : <= 0.1mm
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スクラッチ / ディグ : 20/10 ( MIL-PRF-13830Bに対して)
l 平 行 度 : 20アーク秒以上
l 垂 直 度 : 5アーク分
l 角 度 誤 差 : 0.25゚
l
ダメージ閾値[GW/cmm2]: >1 for 1064nm, TEMoo, 10ns, 10Hz (研磨のみ)
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ダメージ閾値 [GW/cmm2]: >0.5 for 1064nm, TEMoo, 10ns, 10Hz (AR-coated))
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ダメージ閾値[GW/cmm2]: >0.3 for 532nm, TEMoo, 10ns, 10Hz (AR-coated))
l 品 質 保 証 期 間: 正常使用で1ヶ年
ご注意
1. BBOは湿気に敏感です。BBOの利用および保存には乾燥した状態で行なってください。
2. BBOは柔らかいので、研磨面の保護には注意が必要です。
3. 角度調整が必要な場合、適応できる許容角が小さい。
4. 使用するレーザのパラメーターを提供していただければ、Castech社のエンジニアは最適のデザインと結晶を選択致します。例えば、
パルスレーザの場合にはパルスエネルギー、パルス幅、繰り返し周波数など、CWレーザの場合にはパワー、レーザのビーム径、モード状態、
ビーム拡り角、波長可変範囲などです。