ベータバリウムボライト(β-BaB2O4、BBO)
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株式会社ネオトロン(別窓で開く)
当結晶は中国の科学アカデミーの設立機関であるFujian材料研究所で発見され開発されました。
今日ではFujian Castech Crystal社(Castech社)で製造され市場に出ております。
当社では、新しく改良したフラックス法を使って、φ130×30mm3までのサイズの高品質ベータ・バリウム・ボライト(βBaB2O4あるいはBBO)結晶ボールを製造しています。
● 409.6nmから3500nmまで可能な広い位相整合角
● 190nmから3500nmまでの広い透過性波長域
● KDPより約6倍大きい効果的な第二高調波(SHG)発生係数
● 1064nmで100psのパルス幅に対して10GW/cm2の高ダメージ閾値
● δn≒10-6/cmの高光学的均一性
● 約55℃の広い温度バンド幅
● Nd:YAGとNd:YLFレーザの第2、第3、第4および第5高調波発生
● 色素レーザの周波数逓倍、3逓倍および周波数混合
● Ti:サファイアとアレキサンドライト・レーザの第2、第3、第4高調波発生
● 光パラメトリック増幅器(OPA)と光パラメトリック発振器(OPO)
● アルゴンイオン、銅蒸気およびルビー・レーザの周波数逓倍
● 厳密な品質管理
● 0.02mmから25mmの結晶長で15×15×18mm3までのサイズ
● Pコート、ARコート、マウントおよび再研磨サービス
● 技術的サポー卜
● 経済的価格と数量によるディスカウント
● 大量の在庫品
● 素早い出荷
BBOは異状反射係数(ne)より正常反射係数(n0)を持った負の一軸性結晶です。
Selleimer方程式は(但しλ=μm)
n02(λ)=2.7359+0.01878/(λ2−0.01822)−0.01354λ2
ne2(λ)=2.3753+0.01224/(λ2−0.01667)−0.01516λ2
タイプTとタイプUの位相整合は角度調整で得られます。波長逓倍の角度調整は図5を参照下さい。有効SHG係数は
TYPET:deff=d31sinθ+(d11cos3φ−d22sin3φ)cosθ
TYPEU:deff=(d11sin3φ+d22cos3φ)cos2θ
但しθとφはZ(=c)とX(=a)に対しての極座標です。
図 5 BBOのSHGチューニング曲線
表 5 構造および物理的特性
結 晶 構 造 : 三方晶系(trigonal),スペースグループR3C セルパラメーター : a=b=12.532Å,c=12.717Å,Ζ=6 融 点 : 1095±5℃ 遷 移 温 度 : 925±5℃ 光学的 な 均一性 :δn=10-6/cm モ ー ス 硬 度 : 4 密 度 : 3.85g/cm3 吸 収 係 数 : <0.1%/cm(at1064nm) 固 有 熱 : 1.91J/cm3xK 潮 解 性 の 感 受 性 :低 |
熱 拡 散 係 数 : a,4×10-6/K,c,36×10-6/K |
透 過 レ ン ジ : 189〜3500nm
屈 折 係 数 : at1064nm ne=1.5425,n0=1.6551
at532nm ne=1.5555,n0=1.6749
at266nm ne=1.6146,n0=1.7571
熱 光 学 係 数 : dn0/dT=−9.3×10-6/℃
dne/dT=−16.6×10-6/℃
位相整合可能なSHG範囲 : 189〜1750nm
非 線 形 (NLO) 係 数 : d11=5.8×d36(KDP)
d31=0.05×d11
d22<0.05×d11
電 気 光 学 係 数 : γ11=2.7pm/V,γ22,γ31<0.1γ11
半 波 長 電 圧 : 48KV(at
1064nm)
ダ メ ー ジ 閾 値 : at 1064nm 5GW/cm2(10ns);10GW/cm2(1.3ns)
at 532nm 1GW/cm2(10ns);7GW/cm2(250ps)
BBO結晶は、Nd:YAGレーザの第二高調波発生、第三高調波発生および第四高調波発生に有効なNLO結晶であり、
213nmの第五高調波発生を行なえる最も適した非線形結晶です。
SHGで70%以上、THGで60%、4HGで50%、213nm(5HG)で200mW出力の変換効率がそれぞれ得られます。
Nd:YAGレーザでのBBOおよびKD*P結晶の比較、およびSHGから5HGへの基本的非線形光学特性について、それぞれ表6と表7に示します。
表 6 BBOおよびKD*P結晶を使った高調波発生
Crystal |
1ω(mJ) |
SHG(mJ) |
THG(mJ) |
4HG(mJ) |
5HG(mJ) |
BBO |
220 |
105 |
39 |
18.5 |
5 |
|
600 |
350 |
140 |
70 |
20 |
KD*P |
600 |
270 |
112.5 |
45 |
/ |
表7 タイプI BBO結晶の相対的非線形結晶の特性
|
SHG |
THG |
4HG |
5HG |
有効非線形係数(d36(KDP)) |
5.3 |
4.9 |
3.8 |
3.4 |
許 容 角 度
(mrad-cm) |
1 |
0.5 |
0.3 |
0.2 |
ウォーク オフ 角度 (°) |
3.2 |
4.1 |
4.9 |
5.5 |
BBOは許容角が小さくウォークオフが大きいために、BBOで高い変換効率を得るには、レーザのビーム質が良い (ビーム拡り角が小さく、モード状態が良い等)ことが重要です。球レンズを使ってのタイト・フォーカス(極限までビームを絞り込む方法)は、Castech社の技術者は勧めておりません。
1. 色素レーザ
206nm以上の波長で変換効率10%以上の効率的なSHG変換効率でUV出力(205nm〜310nm)が、タイプI
BBOで得られ、150KWのパワーでXeClレーザやNd:YAGレーザで励起した色素レーザでは、36%の変換効率が得られています。これは、ADPに比べて、4〜6倍大きい変換効率です。204.97nmの最も短いSHG波長で1%の変換効率が得られています。
Castech社のBBOは、色素レーザで広く用いられています。BBOを使って、780nm〜950nmと248.5nm(色素レーザの495nmのSHG出力)のタイプI
和周波では、最も短いUV出力波長域188.9nm〜197nmと、193nmで95mJ、189nmで8mJのパルスエネルギーがそれぞれ得られています。
2. 超短パルスレーザ
超短パルスレーザの周波数逓倍および3逓倍は、KDP結晶やADP結晶に比べてBBO結晶が優れた特性を示す応用のひとつです。現在、Castech社では、この目的のために0.02
mmまでの薄さのBBO結晶を供給することができます。10fsまでの超短パルス幅のレーザでは、位相速度と群速度の両方の整合を考慮した薄いBBOを使って周波数逓倍を効率的に行なうことができます。
3.
Ti: サファイアレーザとアレキサンドライトレーザ
結晶タイプI BBO結晶をアレキサンドライトレーザに用いて、波長378nmで105mJ(31%のSHG効率)のパルスエネルギーを持つ360nm〜390nmの波長域でのUV出力並びに7.5mJ(24%の周波数混合効率)のパルスエネルギーを持つ波長域244nm〜259nmのUV出力が、SHGおよびTHGで得られています。
Ti:サファイアレーザで50%以上のSHG変換効率が得られています。Ti:サファイアレーザでは、THGおよび4HGでも高い変換効率が得られています。
4. アルゴンイオンと銅蒸気レーザ
ブリュースタ角カットのBBO結晶を用いて、2Wの全発振線のアルゴンイオンレーザに共振器内周波数逓倍技術を採用したところ、波長250.4nmで最大33mWの出力と、228.9nmから257.2nmの濃紫外(UV)波長域で、36本の発振線が得られました。
波長510.6nmの銅蒸気レーザのSHGでは、最大変換効率8.9%が得られ、波長255.3nmの紫外域で230mWまでの平均出力が得られました。
BBOを使った光パラメトリック発振器(OPO)と光パラメトリック増幅器(OPA)は、紫外(UV)から赤外(IR)までの広い波長領域で波長可変なコヒーレント光を発生する強力なツールです。タイプTBBO結晶とタイプUBBO結晶のOPOおよびOPAのチューニング角度は、それぞれ図6および図7に示したように計算されています。
7.2mm長のタイプI
BBOを用いると680nm〜2400nmの範囲にてピークパワー1.6MWと30%以上の変換効率をもったOPO出力が得られます。入力励起エネルギーは532nmで75psのパルス幅で40mJです。更に長い結晶を用いると高い変換効率が得られます。
Castech社のBBO結晶を使って、通常のNd:YAG励起の場合、BBO OPOシステムでは、400nm〜2000nmの可変波長域でパルスエネルギー100mJ以上が得られています。
Castech社のBBO結晶を使うことで、BBO
OPOシステムはさらに400nm〜3100nmに波長域を拡張することができます。OPOやOPAシステムは430nm〜2000nmの波長領域において、18%以上又は最大30%を保証しています。
不発生点(degenerate
points)付近で線幅を狭くする目的でタイプU BBO結晶を利用できます。
線幅を0.05nmまで狭くし、利用可能な12%の変換効率が達成されています。しかし、15mm以上の長いBBO結晶は、タイプU位相整合にした場合、通常発振閾値を低くする場合に使われます。
波長355nmのピコ秒Nd:YAGレーザで励起した場合、狭帯域バンド幅(<0.3nm)、高エネルギー(>200μJ)、広い可変波長域(400nm〜2000nm)のパルスがBBOを使ったOPAで得られています。50%以上の変換効率を持つBBOを使ったOPAは、従来の色素レーザより効率、可変波長域およびメンテナンスのし易さにおいて優れており、設計も操作も簡単です。更に205〜3500nmのコヒーレント発振光がBBOのOPO又はOPAプラスBBOのSHGより得られます。
波長422nmと477nmの間の信号波を持つ波長可変OPOは、XeClエキシマレーザの波長308nmで励起したタイプTBBO結晶の角度チューニングで発生できます。
波長266nmのNd:YAGレーザの第四高調波で励起したBBO結晶のOPOは、330nm〜1370nmのすべての波長域をカバーすることが観測されています。
615nmの1mJ,80fsのDYEレーザの励起によって、2つのBBO結晶を用いたOPAは800nm〜2000nmにわたって、>50μJ(最大130μJ)、<200fsの超短パルスが得られます。
Castech社の技術者が皆様の応用、仕様、更に低価格を考慮しBBOを選択しカットします。
非線形光学結晶を発注する際、結晶方向(あるいは結晶のカット)とサイズをご連絡下さい。結晶方向は主に非線形光学プロセスによって決定されます。
例えば、1064nmのタイプI周波数逓倍では、BBO結晶はθ=22.8゚とφ=0゚でカットされます。
結晶サイズは、W×H×Lmm3の3方向で規定されます。結晶の価格が結晶サイズで変わりますので、結晶サイズを慎重に決定することが重要です。さらに重要なことは、変換効率が結晶長に直接関係することです。
最適な結晶の幅を選ぶためには、結晶上のレーザビーム径とレーザの波長可変範囲を考慮しなければなりません。最適な結晶の高さ(H)は、結晶がレーザビーム径よりわずかに大きい(例えば、1mmに対して2mm)ことが必要です。
BBOの標準の長さは7mmですが、最適な長さはその応用によります。たとえば光パラメトリック発振器(OPO)や光パラメトリック増幅器(OPA)では、例えばBBO結晶では>12mmというように長くなり、超短パルスレーザのSHGやTHGでは、1mm以下の長さというように薄い結晶を使います。
Castech社では様々な応用に対して推薦できる結晶サイズ(結晶上のレーザビーム径をφ2mmからφ3mmと想定)を次に示します。
標準サイズ
1. Nd:YAGレーザの高調波発生
|
タイプ I :4x4x7mm, 22.8°カット |
532nm |
|
タイプ I :4x4x7mm, 31.3°カット |
355nm |
1064nm |
タイプU:4x4x7mm, 38.6°カット |
|
|
タイプ I :4x4x7mm, 47.6°カット |
266nm |
|
タイプ I :4x4x7mm, 51.1°カット |
213nm |
2. Nd:YAGレーザの高調波で励起したOPOおよびOPA
532nm |
タイプ T:4x4x12-15mm, 21°カット |
680-2600nm |
355nm |
タイプ T:6x4x12-15mm, 30°カット |
410-2600nm |
|
タイプ U:7x4x15-20mm, 37°カット |
|
266nm |
タイプ T:6x4x12-15mm, 39°カット |
295-2600nm |
3. 色素レーザの周波数逓倍
670-530nm |
タイプT:6x4x7mm, 40°カット |
335- 265nm |
600-440nm |
タイプT:8x4x7mm, 55°カット |
300-220nm |
444-410nm |
タイプT:8x4x7mm, 80°カット |
222-205nm |
4.
Ti:サファイヤレーザの高調波発生
|
タイプT:7x4x7mm, 28°カット |
350-500nm |
700-1000nm |
タイプT:8x4x7mm, 42°カット |
240-330nm |
|
タイプT:8x4x7mm, 66°カット |
210-240nm |
5. アレクサンドライトの周波数逓倍および3逓倍
720-800nm |
タイプT:4x4x7mm, 31°カット |
360-400nm |
|
タイプT:7x4x7mm, 48°カット |
240-265nm |
6. ブリュースタカットBBOによるアルゴンイオンレーザの共振器内SHG
514nm |
タイプT: 4x4x7mm, 51°Bカット |
257nm |
488nm |
タイプT: 4x4x7mm, 55°Bカット |
244nm |
7. 銅蒸気レーザの周波数逓倍
510nm |
タイプT:4x4x7mm, 50°カット |
255nm |
578nm |
タイプT:4x4x7mm, 42°カット |
289nm |
1. 保護コーティング(Pコーティング)
BBOの研磨面は、水溶性に対する抵抗が低いために空気中の湿度で比較的容易に曇ってしまいます。湿気にさらされることからBBO結晶を保護するため、Castech社では保護コーティング(Pコーティング)を開発しました。 Pコーティングの特長は、
長期間の耐久性 :
95%の湿度で6ケ月以上、それ以下の湿度(例えば、湿度80%)ではさらに長期間の耐久性があります。
高いダメージ閾値:
1064nmで30psのレーザパルス幅で7GW/cm2と並びに10Hzのパルス幅で1GW/cm2 のダメージ閾値。
優れた透過率 :
波長200nm〜3500nmの広い波長域での透過率はPコーティングのBBO結晶は無コーティングのBBO結晶よりも優れている
などです。
備考:私共は通常PコートのBBO結晶を非潮解性結晶として取り扱っており、マウント付きのPコーティングBBO結晶は、ハウジング付きのBBO結晶より簡単で優れています。
2 無反射コーティング(ARコーティング)
Castech社では、1064nmと532nmでBBO結晶に単一帯域および二重帯域(DBAR)の無反射コーティング(ARコーティング)を供給しています。DBARコーティングは、低反射率(1064nmで0.2%以下、532nmで0.4%以下)、高いダメージ閾値(1064nmで繰り返し周波数が10Hzのとき、30psのパルス幅で7GW/cm2以上、10nsのパルス幅で1GW/cm2以上)、耐水性および長い耐久性で特長付けられます。 ご要求によって、他の波長でのARコーティングも可能です。
l 透 過 波 面 歪 み : λ/8以下 @ 633nm
l 寸 法 誤 差 :
(W±0.1mm)×(H±0.1mm)×(L+0.2mm/−0.1mm)
l 有 効 口 径 :
>90%(中央部分に対して)
l 平 面 度 : λ/8 @ 633nm
l スクラッチ / ディグ : 10/5(但し MIL-O-13830Aに対して)
l 平 行 度 : 20アーク秒以上
l 垂 直 度 : 5アーク分
l 角 度 誤 差 :
δθ<±0.5゚、Δφ<±0.5゚
l 品 質 保 証 期 間: 正常使用で1ヶ年
ご注意
1.
BBOは湿気に敏感です。BBOの利用および保存には乾燥した状態で行なうこと。
2.
BBOは柔らかいので、研磨面の保護には注意を必要とする。
3. 角度調整が必要な場合、適応できる許容角が小さいということを念頭に置くこと。
4. 使用するレーザのパラメーターを提供していただければ、Castech社のエンジニアは最適のデザインと結晶を選択致します。例えば、パルスレーザの場合にはパルスエネルギー、パルス幅、繰り返し周波数など、CWレーザの場合にはパワー、レーザのビーム径、モード状態、ビーム拡り角、波長可変範囲などです。